株式会社テラヤマ

煉瓦と土と緑とアート —— 造園という仕事が、こんなにも面白い理由

造園の仕事をしていると、「庭師(植木屋)さんですか?」と聞かれることがある。
間違いではない。しかしテラヤマが手がけている「緑の仕事」は、おそらく多くの人が想像するそれとは、だいぶ景色が違う。今回は、なぜテラヤマの仕事がこんなにもダイナミックで、こんなにも素敵なのか、少し語らせてほしい。




田根剛氏が描いた風景を、大地に刻む仕事


いま私たちは、渋谷区ササハタハツ(笹塚・幡ヶ谷・初台)エリアで、玉川上水旧水路緑道の再整備 工事を施工している。渋谷区から直接受注した。約2.6kmにわたるランドスケープ工事だ。

この緑道のデザインを手がけたのは、建築家・田根剛氏。パリを拠点に世界で活躍し、エストニア国立博物館の設計でも知られる建築家だ。 彼がこの緑道に与えたコンセプトは「 FARM (農園)」。 江戸時代に玉川兄弟が拓いた上水路の記憶を掘り起こし、「育てる・育む」をテーマにした参加・活 動型の緑道公園をつくる。苗木を植え、次世代の森を育て、コミュニティが根付く場所へ ——「 388FARM 」と名付けられたその構想を、私たちが実際の土の上に実現している。 建築家が紙の上に描いた未来の風景を、造園の手で大地に翻訳する。これが私たちの仕事だ。




あの弘前の煉瓦を積んだ匠と、一緒に万博に出る


話は満開の桜が咲き乱れる弘前に飛ぶ。
青森県弘前市に、弘前れんが倉庫美術館という美術館がある。明治期に酒造倉庫として建てられ、日本初のシードル工場にもなった煉瓦造りの建物を、田根剛氏が「記憶の継承」をコンセプトに現代美術館へと再生させた場所だ。シードル・ゴールドに輝くチタン屋根は、かつてここで醸されたりんご酒の記憶を未来へ運ぶシンボルになっている。


この美術館で、来館者を迎えるあのドーム型アーチのエントランス —— 「弘前積みレンガ工法」と名付けられた、国内では皆無に近い難易度の煉瓦積み —— を完成させたのが、三代目煉瓦匠・高山登志彦さんだ。高山煉瓦建築デザインの代表であり、祖父の代から三代にわたって煉瓦と向き合ってきた職人。 この高山さんと私たちテラヤマは、来年開催される 2027 国際園芸博覧会( GREEN× EXPO 2027 )に共同で出展する。 煉瓦と緑。一見かけ離れた素材だが、高山さんは「煉瓦積みを通して建築やインテリア、ランドスケープに命を吹き込む」と語っている。まさに、私たちの仕事と通底するものがある。 そして実は、高山さんと田根剛氏は友人関係だという。弘前の現場で共に闘った仲間同士。

つまり —— 田根剛 × 高山登志彦 =同志・友人。弘前で共に煉瓦美術館を創った
高山登志彦 × テラヤマ = GREEN× EXPO 2027 の共同出展者
テラヤマ × 田根剛 = ササハタハツ緑道の設計者と施工者
三者がそれぞれ異なる場所、異なる文脈で出会い、気づけば一つの環になっていた。




奈良美智が夢見るのは「森づくり」だった


この物語には、もう一人の登場人物がいる。 奈良美智。弘前出身の現代アーティスト。 2025 年にアメリカ TIME誌「世界で最も影響力のある100 人」に選ばれた、日本を代表するアーティストだ。 弘前れんが倉庫美術館がなぜ美術館になったのか。その原点に奈良美智がいる。 2002年、煉瓦倉庫のオーナーが「奈良さんの展覧会はできませんか?」と一本の電話
をかけた。そこから始まった3度の展覧会は、延べ 15 万人の来場者と 1,500人を超えるボランティアを集め、「奇跡の展覧会」と呼ばれた。この熱が、やがて煉瓦倉庫を美術館へと変える原動力になった。

いまも美術館のエントランスには、奈良が感謝を込めて贈った白い犬の彫刻《 A to Z Memorial Dog 》が来館者を迎えている。


そしてここからが、造園屋として聞き捨てならない話だ。
奈良美智は、美術大学時代の4年間、植木屋でアルバイトをしていた。そして彼はこう語っている —— 本当にやりたいことは「森づくり」だ、と。

世界で最も影響力のあるアーティストが夢見るのが、森をつくること。
その奈良さんと、造園会社である私たちが繋がっている。

偶然にして必然 —— 四重奏が鳴るここで、関係を整理してみる。
田根剛 × 高山登志彦  同志。弘前で煉瓦美術館を共に創った
田根剛 × テラヤマ ササハタハツ緑道の設計者と施工者
高山登志彦 × テラヤマ GREEN×EXPO 2027 共同出展者
奈良美智 × 弘前れんが倉庫美術館 3 度の「奇跡の展覧会」で美術館誕生の契機をつくった
奈良美智 × テラヤマ 「森づくり」という共通の夢で結ばれる

誰かが仕組んだわけではない。

田根剛氏はパリで「記憶から未来をつくる」建築を追い求め、弘前に煉瓦美術館を、東京に緑道を構想した。高山登志彦は三代にわたって煉瓦を積み続け、田根の構想を職人技で具現化した。奈良美智は弘前で生まれ、世界で戦い、TIME誌に選ばれてなお「森がつくりたい」と言っている。
そして私たちテラヤマは、造園会社として日々、土と緑に向き合っている。
それぞれが自分の仕事を真摯に積み重ねた先に、この四角形は自然に閉じた。

緑の仕事の本当の面白さ 造園の仕事は、木を植えて終わりじゃない。

田根剛氏のような建築家の構想を大地に翻訳する。
高山登志彦のような匠と素材を超えて共鳴する。
奈良美智のようなアーティストの夢と、造園という生業が交差する。 

建築、アート、煉瓦、そして緑。 弘前から東京、そして来年の横浜へ。

煉瓦は100 年残る。木は 100 年育つ。 私の仕事は、 100 年後の風景をつくっている。

だから造園は、こんなにも素敵で、こんなにもダイナミックなのだ。  (T.T.)



2027 国際園芸博覧会( GREEN× EXPO 2027 )は、 2027 年 3 月 19 日~ 9 月 26 日、横浜市(旧上瀬谷通信 施設)にて開催。テーマは「幸せを創る明日の風景」