
夜は暗くてはいけないか
谷崎潤一郎による『陰翳礼讃』で知られるように、日本では「陰影」すなわち闇や影の中にこそ美が宿るという感性が重視されてきました。
谷崎は、薄暗い部屋やろうそくの光のもとでこそ、漆器や屏風、紙の質感や静寂の趣が深まると論じています。
話は変わりますが、テラヤマに「感性工学研究所」の所長を務められる姫野YKK AP専務執行役員と、長崎大学の源城かほり教授がご来社されました。
YKKAPは建材メーカーとしての長年の技術蓄積に加え、「感性」を科学的に捉え、空間づくりに活かす新たな挑戦を始めています。その中核として設立されたのが感性工学研究所です。感性を“数値化”し、“設計や製品に翻訳”するこの取り組みは、私たち造園会社にとっても大きな示唆を与えてくれます。
特に源城教授は、パッシブデザインやバイオフィリックデザインを基にした住宅・オフィス空間での心理・生理的効果を専門に研究されており、「人間にとって心地よい光と緑の関係」について、まさに私たちのフィールドと重なる部分で深い洞察を共有してくださいました。

「夜は暗くてはいけないか」は乾正雄先生の書籍のタイトルです。この問いには、生活の安全や利便性だけでなく、精神的・文化的・環境的な価値観を見直す視点が隠れています。
今回の対話を通じて、well-beingや枯渇する資源・エネルギーなど社会課題を客観的にとらえ、「緑」にこだわる事業領域を広げながら、これからもテラヤマは感性と科学が交差する場所で、都市や建築と自然との新たな関係性を模索し、実践していくことを改めて決意しました。(TT)
